予防歯科
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みなさんはどんな時に歯科医院を受診しますか?
「痛くなったから」
「腫れたから」
「詰め物がとれたから」
・・・などなど
残念ながら、現代の日本では”痛くなってから歯医者へ”が、まだまだ実際のところかもしれません。
悪くなってから治療を繰り返すのでは、お口の状態は人工物で置き換えられ、だんだんより悪くなってしまいます。そして、歯を失ってしまうと戻ってはきません。
食べることは、命を支える大切なこと。体の健康を保ち、おいしく食べるには「歯」は欠くことのできないものです。
歳をとったら歯は悪くなって当たり前?
「歳を取ったら歯は悪くなって当たり前だ」と思ってらっしゃる方も、たくさんいらっしゃいます。
残念ですが今の日本の現状ではその通りです。現在、80歳の方の平均残存指数は、たったの6.8本(厚生省調べ)しかありません。通常、人間のお口の中には28本の歯がありますから、約1/4しか残ってないのです。
年齢 | 平均残存指数 | |
---|---|---|
日本 | 80歳 | 6.8本 |
アメリカ | 85歳 | 15.8本 |
スウェーデン | 75歳 | 19.5本 |
アメリカであれば85歳のときに平均15.8本、スウェーデンであれば75歳で平均19.5本の平均残存歯数となっています(サンスター調べ)。
なぜ、こんなに大きな差がついてしまったのでしょうか?
以前の日本では歯医者も削ってつめる治療だけを行い、「どうしたら悪くならないように予防できるか」ということを考えて来なかったのです。これが欧米諸国との間に大きな差がついてしまった最大の原因です。
スウェーデンでは75歳の平均で約20本も歯が残っているのです。歯は残せないのではなく、単に歯を残していないだけなのです。きちんとしたことを行えば、十分、歯を残せるのです。
どうしたら歯を残せるでしょうか?
歯のメインテナンス
では、どうしたら歯を残せるのでしょうか?欧米諸国はどのようにして、歯を残しているのでしょうか?
その答えが「1~3ヶ月に1回、定期的に歯科医院でメインテナンスを受けること」なのです。
欧米では、治療ではなく、このメインテナンスに力を入れたことによって、国民の平均残存歯数が飛躍的に向上したのです。日本でも、熊谷崇先生の調査によると、以下のグラフのようにメインテナンスをしっかり受けた方と受けなかった方とでは80歳になったときに約9本もの差がついているのです。
皆さんは、80歳になったときに、何本、歯を残していたいですか?20本以上の歯があれば、ほとんどの食べ物を噛みくだくことができ、味を楽しみながら食べることができます。
「8020(80歳になっても20本以上自分の歯を保とう)」は、健康で長生きするための大切な目標といえるのです。
歯のプロフェッショナルクリーニング
歯石とり
ご自身での歯のお手入れはいかがですか?
どんなにがんばってもきれいにできない部分は必ずあります。その部分は専門家である私達がクリーニングいたします。歯ブラシではきれいにできない汚れがあります。それは歯石とバイオフィルムです。
歯石とは歯垢(プラーク)という細菌の塊が石灰化してできたものであり、硬くて歯ブラシでは取れなくなります。細菌が歯と歯ぐきの間にある溝(歯周ポケット)に入り込み、それにより歯槽骨を溶かしてしまう原因となります。ですから、歯石はきちんと取り除く必要があるのです。
また、お口の中にもカビは生えます。台所やお風呂に生えるヌメヌメのカビと同じで、細菌の住処の役目を果たします。細菌とその住処であるカビでバイオフィルムいう膜を形成します。これはとても歯ブラシでは取れないなのです。
また、歯と歯の境目、歯と歯ぐきの間の溝(歯周ポケット)についたバイオフィルムは歯ブラシで取り除くことは難しくなります。
これらのバイオフィルム(細菌とカビ)を放置しておくと、虫歯と歯周病の原因となります。ですから、これを機械的に歯科医院で取り除くことが重要になるのです。また、このバイオフィルム(細菌とカビ)は1度、破壊しても、また3ヶ月程度で形成されるというデータが出ています。ですので、1~3ヶ月に1度の定期的なメインテナンスが大切になるのです。
メインテナンスではこのようなことをします
では、当院ではどのように皆さまに予防処置をしているか、お伝えしましょう。
- 1. 定期的な口腔内のチェック
- みなさまの状態によって、1ヶ月~4ヶ月ごとにお口の中を診査します。むし歯、歯周病のチェックを行い、前回と比較します。期間は、そのかたの症状や状態をみて考えて行きます。検査の結果はイラストで印刷し担当の衛生士が説明の後、みなさまにお渡しします。お家に帰ってから、ゆっくりご覧になり、前回の検査結果と比較してみてください。
- 2. 歯石や歯垢を取り除きます
- 従来の歯垢歯石をとるスケーリングのみならず、PMTC(プロフェッショナルメカニカルトゥースクリーニング)という方法で歯の表面から細菌のついたプラークをはがしとります。
- 3. きれいになった歯面にフッ素を塗布
- きれいになった歯面にフッ素を塗布し、エナメル質の強化や細菌の活動を抑制し、むし歯の予防を促進します。
- 4. 歯肉マッサージ
- 仕上げに歯ぐきをマッサージすることで、血行を促進します。
むし歯や歯周病は細菌が原因で起きるものです。どちらも、現在では進行を管理することが可能となってきました。重度に進んでしまってからでは、治療も機能回復も困難になってきます。出来るだけ進行しないよう、定期的なお口の中の健診、お手入れをしていきましょう。